大規模改修工事の改修内容の紹介
令和元年9月17日から令和2年7月31日まで約10か月間、ホール等の利用を休止し長野県発注の大規模改修工事が行われました。
この度、改修工事が完了し、8月1日からホール等の利用が始まっていますが、改修工事の状況を少し詳しくお伝えします。
1 屋根及び外壁の改修
屋根には錆が発生し、また、外壁は壁の内部が空洞化するなど老朽化が進んでいました。このため、屋根は鋼板の全面張替、壁は空洞化部分の補修及び表面の補強工事が実施されました。
建物全体に足場が組まれ、白いシートで覆われた中でこれら工事が行われました。
改修前の屋根は錆などの補修痕が目立ちましたが、深緑の色でリニューアルされました。
改修前の外壁はタイル張りでしたが、タイルの表面が壁材により補強されました。
2 エントランス及び階段ロビーの改修
正面入口より入ったエントランス及び階段上ロビーの天井は地震時に落下の可能性がある特定天井に該当するとのことから、従来の吊り天井から直付け天井に改修されました。下からの見た目ではわかりませんが、これら天井はすべて取り外し再取り付けが行われました。
また、エントランスにあるエレベータ2機は全面的に更新し、耐震性能の強化が図られました。
また、この休館期間を利用しロビーソファーの生地を青紫で張替を実施しました。中のウレタンも入替を行い、新品と見違えるほど綺麗で座り心地がよくなりました。
エントランスに設置されているキッセイ薬品工業㈱様の展示ブースもデジタルサイネージ(ディスプレイを使用した電子看板)が入ったものにリニューアルされ、キッセイ薬品工業㈱様の経営理念や事業内容などが動画で紹介されています。
3 大ホールの改修
この度の改修工事は大ホールの天井改修が最大の目的でした。大ホールの天井は落下の危険性がある特定天井に該当することから、全面を取り外し再取り付けが行われましたが、この工事のためには大ホール全体に足場を組む必要があることから、客席はすべて取り外し、客席の更新も行われました。
また、緞帳も長年の汚れと防炎性能の向上のため取り外してメーカーにてクリーニングが行われました。
改修工事が終わって再取り付けされた天井です。従来の形状が再現され音響特性ができるだけ変わらない配慮がなされました。
再取り付けされた緞帳です。油のシミもきれいになりました。
客席は改修前と同じ2000席が取付けられました。
新しい客席は席から離れると座面が自動で跳ね上がるようになり、背板の形状も3次元設計により座り心地の改善が図られました。また、歩きやすいように前列との間隔を広く取り、通路側には座席の番号札が取付けられました。
2階席の通路側客席の背板の部分には、歩行者が手を掛ける「手掛け」が取り付けられ、安全性の向上が図られました。
4 大ホールホワイエの改修
大ホールへ出入りするホワイエも天井の張替が行われました。また、北側の角にエレベータが新設され、利用者の利便性向上が図られました。
1階から4階までのカーペットがワインレッドのものに張り替えられました。また、ロビーソファーも類似したワインレッドに生地に張替え、中のウレタンの入替も行い座り心地の改善を図りました。
5 中ホールの改修
中ホールも天井の全面張替が実施されました。中ホールの天井は全体が黒い塗装で施されているため分かりづらいですが、全面に足場が組まれ天井が取り外しの後、再取り付けが行われました。
中ホールに並べるスタッキングチェアは長年の使用で座面のウレタンが劣化し座り心地が悪くなっていましたが、休館の期間を利用し座面と背板の生地の張替を行い、座り心地が大きく改善しました。また、ホワイエに設置のロビーソファーも大ホールと同様に張替を実施しました。
6 国際会議室の改修
国際会議室についても天井が特定天井に該当することから全面的に張替が行われました。
この部屋の特徴でもある山形天井を継承し、天井の照明器具はLED照明が取り付けられ、明るさの調光も可能となりました。
また、床面のカーペットの張替と壁紙の張替も実施されました。カーペットは改修前と似た感じで周囲は緑系、中央はピンク系のツートンカラーの豪華な雰囲気に改修されました。
7 トイレの改修
大ホール1階から4階、中ホール、エントランス、3階会議室の男女トイレはすべて全面的改修が行われました。今まで和式だった便器がすべて洋式の洗浄式に代わり、洗面台もすべて更新されました。
また、男子トイレにもベビーシート、ベビーチェアが設置され、各トイレの入口には案内表示が取付けられました。
8 舞台機構の改修
この度の改修工事では大ホール舞台機構の改修も行われました。一般の来場者の皆さんは目にしない裏方の装置ですが、老朽化した機器の更新が行われました。
地階に設置されている、更新されたオーケストラピットの制御装置
9 機械設備の改修
ホール内の冷暖房を行うための更新された冷温水発生装置です。
地階の機械室にあり、大ホールや中ホールの冷暖房のための冷温水を作る機械です。
10 電気設備の改修
館内に電気を送るための受電設備などが全面的に更新されました。機械式の保護継電器がデジタル式のものに更新され、高圧のトランスも油入式からモールド式に変更となりました。
11 弱電設備の改修
自動火災報知設備と非常放送設備が新しくなりました。特に自動火災報知設備の受信機はP型1級からR型に変更となりました。館内の火災感知器が煙や火事を検知した時には今まではベルが鳴りましたが、改修後は音声のガイダンスが自動で流れるようになりました。
12 最後に
10か月を超える長い改修工事でしたが無事改修工事が終了しました。その間にコロナウィルスの問題が発生し、色々なイベントがキャンセルとなり当館に訪れる方も減っていますが、当館に来館した際には改修した部分にも注目していただければ幸いです。
また、当館のリニューアルに合わせホームページもリニューアルを行いました。
今後ともキッセイ文化ホールをよろしくお願いいたします。